
結論からいうと、親名義の家を売却するときは、最初に「現在の所有者は誰か」「親本人が売却の意思を確認できる状態か」「親がすでに亡くなっている場合は相続登記が済んでいるか」を確認することが大切です。
親名義の家だからといって、子どもが自分の判断だけで売却できるわけではありません。
特に実家の売却では、
「親が高齢なので子どもが代わりに売りたい」
「親が施設に入って実家が空き家になった」
「親が認知症になっている」
「親が亡くなったけれど、家はまだ親名義のまま」
といったケースがあります。
親名義の家を売る前のチェックポイント
① 登記名義人は誰?
② 親は存命?
③ 親本人に売却意思がある?
④ 親本人が契約内容を理解して判断できる状態?
⑤ 子どもが代理する必要がある?
⑥ 親が亡くなっているなら相続人は誰?
⑦ 相続登記は終わっている?
⑧ 住宅ローン・抵当権は残っていない?
⑨ 親が購入したときの契約書はある?
⑩ 売却後の税金はどうなる?
ここでは、西宮市で親名義の家の売却を考えている方に向けて、状況別に確認したいポイントを解説します。
① 最初に登記名義を確認する
まず確認したいのが、不動産の登記名義です。
家族の中では「父の家」「母の家」と認識していても、土地と建物で名義が違っている場合があります。
例えば、
・土地は父、建物は母
・土地は父、建物は父と母の共有
・土地は祖父名義のまま、建物だけ父名義
というケースもあります。
「親の家だから親一人の名義だろう」と思い込まず、土地・建物それぞれの登記内容を確認しましょう。
② 親が元気なら、基本は親本人が売主になる
親が存命で、家が親本人の名義であれば、基本的には親本人が売主として売却を進めます。
子どもが不動産会社を探したり、査定の相談をしたり、書類整理を手伝ったりすることはできます。
しかし、所有者が親である以上、最終的な売却意思や契約内容については親本人の確認が重要です。
「子どもたちは売りたいけれど、親は売りたくない」という場合に、子どもだけの判断で売却することはできません。
③ 親が遠方・入院中・施設入居中の場合
親が遠方に住んでいたり、病院に入院していたり、高齢者施設へ入居しているケースもあります。
その場合でも、親本人が契約内容を理解して売却意思を示すことができれば、状況に応じて手続きを進められる場合があります。
不動産会社との打合せを子どもがサポートし、必要な場面で親本人へ確認する方法などが考えられます。
ただし、契約・登記では本人確認や意思確認が重要になります。
親が遠方や施設にいる場合は、売却を依頼する不動産会社や司法書士へ早めに状況を伝えておきましょう。
④ 子どもが代理して売却できる場合もある
親本人に売却意思と判断能力があり、事情があって本人が手続きを行いにくい場合には、子どもなどが代理人として手続きを行う方法が検討されることがあります。
その場合には、委任状などが必要になります。
ただし、「親子だから委任状なしで代わりに契約できる」というわけではありません。
売買契約や所有権移転登記など、それぞれの手続きで必要な書類や本人確認があります。
代理で進める予定がある場合は、売却開始前に不動産会社・司法書士へ相談しましょう。
⑤ 親が認知症の場合は特に注意する
親が認知症だからといって、診断名だけで一律に「売却できない」と決まるわけではありません。
重要なのは、不動産売却について本人が内容を理解し、判断できる状態かどうかです。
本人が売買契約の内容を理解して判断することが難しい場合、子どもが本人の代わりに勝手に売却することはできません。
状況によっては成年後見制度などの利用を検討することがあります。
親の判断能力が心配なとき
① 先に売買契約を進めない
② 親本人の状態を確認する
③ 不動産会社へ事情を伝える
④ 司法書士・弁護士などへ相談する
⑤ 必要に応じて成年後見制度などを検討する
「子どもだから代わりに署名しておけば大丈夫」という進め方は避けましょう。
⑥ 親が亡くなっている場合、親名義のまま売却できる?
親が亡くなっているにもかかわらず、登記簿上は親名義のままというケースは珍しくありません。
この場合、亡くなった親本人を売主として売買契約・所有権移転を行うことはできません。
相続人を確認し、遺産分割や相続登記など必要な手続きを行ったうえで売却を進めます。
ただし、相続登記が終わっていなくても、不動産会社へ相談したり、現在の査定価格を確認したりすることはできます。
「相続登記が終わるまで不動産会社へ相談できない」と考える必要はありません。
⑦ 相続登記には期限がある
2024年4月1日から相続登記は義務化されています。
原則として、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、2024年4月1日より前に発生した相続で相続登記がされていない場合も義務化の対象です。
一定の場合には2027年3月31日が期限になります。
遺産分割が成立した場合には、その内容に応じた相続登記についても期限があります。
⑧ 誰が相続人なのか確認する
親が亡くなった後の売却では、まず相続人を確認します。
「長男だから自分が相続する」「実家の近くに住んでいるから自分が売却する」といった家族内の認識だけで進めることはできません。
戸籍などによって法定相続人を確認し、遺言書の有無や遺産分割の内容も確認します。
兄弟姉妹など複数の相続人がいる場合は、誰が不動産を取得するのか、売却して代金を分けるのかなどを話し合います。
⑨ 2026年から「親名義の不動産をまとめて確認」できる制度も
親が複数の不動産を所有していた可能性があり、「どこに不動産があるのか分からない」というケースもあります。
2026年2月2日から「所有不動産記録証明制度」が始まりました。
この制度では、一定の手続きにより、特定の人が登記名義人として記録されている不動産を一覧的に確認することができます。
相続人も一定の要件のもとで請求できるため、親が所有していた不動産を把握する際に役立つ制度です。
⑩ 住宅ローン・抵当権を確認する
親名義の家に住宅ローンや抵当権が残っている場合があります。
ローンが残っている場合は、売却代金などで完済できるのかを確認します。
また、すでにローンを完済していても、登記簿上の抵当権が抹消されていないケースもあります。
親が亡くなった場合には、団体信用生命保険などによってローンが完済される可能性もありますので、金融機関へ確認しましょう。
⑪ 親が購入したときの売買契約書を探す
親名義の家を将来売却する可能性があるなら、購入時の書類を捨てずに探しておきましょう。
探しておきたい主な書類
□ 購入時の売買契約書
□ 購入代金の領収書
□ 仲介手数料などの領収書
□ 建築請負契約書
□ リフォーム・増改築関係書類
□ 登記関係書類
□ 測量図・境界確認書
□ 固定資産税関係書類
特に相続後に売却する場合、親が購入したときの取得費が譲渡所得の計算に関係します。
⑫ 親が亡くなった後に売る場合、取得費はどうなる?
相続した土地・建物を売却した場合、取得費は原則として、亡くなった親がその不動産を購入したときの購入代金や購入手数料などを基に計算します。
取得時期についても、原則として親の取得時期を引き継ぎます。
そのため、相続した直後に売却したからといって、それだけで短期譲渡になるわけではありません。
取得費が分からない場合には、売却金額の5%相当額を概算取得費として計算できる取扱いもあります。
古い売買契約書が税金に大きく影響することもあるため、家の整理をするときに簡単に処分しないようにしましょう。
⑬ 家財道具が残っていても、まず査定できる
親が施設へ入った場合や亡くなった場合、実家に大量の家財道具が残っていることがあります。
しかし、査定を依頼する前にすべて片付けなければならないわけではありません。
まず家財が残った状態で不動産会社へ相談し、売却方法や片付けのタイミングを確認する方法があります。
先に大きな費用をかけて処分・リフォーム・解体などをする前に、現状の査定価格を確認しておくと比較しやすくなります。
⑭ 親が元気なうちに家族で話しておくことも大切
実家の売却で困りやすいのは、親本人の希望が分からないまま、入院や施設入居、相続などを迎えるケースです。
親が元気なうちに、
家族で話しておきたいこと
・将来も実家に住み続けたい?
・施設へ入ったら家をどうする?
・売却する可能性はある?
・誰に相談してほしい?
・不動産関係の書類はどこにある?
・住宅ローンや借入れは残っている?
などを確認しておくと、その後の選択肢を考えやすくなります。
⑮ 親名義の家は「売るかどうか決める前」に査定してもいい
親名義の家について相談するとき、「まだ売ると決めていないのに査定してもいいの?」と思う方もいます。
もちろん、売却を決める前に査定価格を確認することもできます。
現在の不動産価値が分かれば、
「そのまま住む」
「家族が使う」
「賃貸にする」
「売却する」
といった選択肢を家族で比較しやすくなります。
よくある質問
Q1. 親名義の家を子どもだけで売却できますか?
親が存命で親本人が所有者の場合、子どもが自分の判断だけで売却することはできません。
親本人の売却意思を確認し、子どもが代理する場合には必要な代理手続きを確認しましょう。
Q2. 親が施設に入っていても家を売れますか?
施設へ入居しているという理由だけで売却できなくなるわけではありません。
親本人の売却意思や判断能力を確認し、不動産会社や司法書士と手続き方法を相談しましょう。
Q3. 親が認知症なら子どもが代わりに売れますか?
子どもだからという理由だけで自由に売却できるわけではありません。
本人が契約内容を理解して判断できる状態かどうかが重要です。難しい場合には、成年後見制度などを含めて専門家へ相談しましょう。
Q4. 亡くなった父名義のままでも査定できますか?
査定や売却相談を先に行うことはできます。
ただし、亡くなった方の名義のまま最終的な所有権移転をすることはできないため、相続人の確認や相続登記などを進める必要があります。
Q5. 家財道具を全部処分してから査定した方がいい?
必ずしも先に全部処分する必要はありません。
家財が残った状態でも査定できる場合があります。まず現状で相談し、売却方法が決まってから片付け方を考えると無駄な費用を抑えやすくなります。
Q6. 親が亡くなってすぐ売ると短期譲渡になりますか?
相続してすぐ売ったという理由だけで短期譲渡になるわけではありません。
相続した不動産は、原則として亡くなった親の取得時期を引き継いで所有期間を判定します。
まとめ|「親名義」のまま進めず、まず現在の状況を確認
親名義の家を売却するときは、「親が存命なのか」「本人が売却について判断できるのか」「すでに相続が発生しているのか」によって必要な手続きが変わります。
まず確認したい7つのこと
① 土地・建物の登記名義
② 親本人の売却意思
③ 親本人の判断能力
④ 代理手続きが必要か
⑤ 相続が発生しているなら相続人・相続登記
⑥ 住宅ローン・抵当権
⑦ 購入時の契約書などの資料
まだ売却すると決めていなくても、現在の査定価格を知ることはできます。
西宮市で親名義の実家について、「将来どうするか家族で考えたい」「施設入居をきっかけに売却を検討している」「相続後も親名義のままになっている」という場合は、まず登記内容と現在の不動産価値を確認するところから始めてみましょう。
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