
結論からいうと、相続した空き家を「とりあえずそのまま」にしておくのはおすすめできません。
人が住まなくなった家は劣化が進みやすく、建物の傷みだけでなく、庭木・害虫・防犯・近隣トラブルなどの問題につながることがあります。
さらに、適切に管理されず「管理不全空家」や「特定空家」として勧告を受けると、土地に適用されている住宅用地の固定資産税等の軽減措置が受けられなくなる場合があります。
「まだ売るか決めていないから」
「兄弟で話し合いができていないから」
「遠方に住んでいて見に行けないから」
このような理由で実家をそのままにしている方もいらっしゃいます。
しかし、何もしない期間が長くなるほど、管理の負担や売却前に必要な修繕・整理が増える可能性があります。
相続した空き家を放置する主なリスク
① 建物の劣化が進む
② 庭木・雑草・害虫などの問題が起こる
③ 不法侵入など防犯上のリスクが高まる
④ 近隣トラブルにつながる
⑤ 管理不全空家・特定空家となる可能性がある
⑥ 固定資産税等の負担に影響する場合がある
⑦ 売却しようとしたときに費用や手間が増える可能性がある
⑧ 相続空き家の税制特例には期限がある
ここでは、西宮市で相続した空き家を放置するリスクと、売るか残すか決めていない段階で何をしておけばよいのかを解説します。
① 人が住まなくなると建物の劣化が進みやすい
家は、人が住んでいなくても少しずつ傷んでいきます。
特に空き家では、窓を開ける機会が減って湿気がこもったり、雨漏りなどの異常を発見するのが遅れたりすることがあります。
小さな不具合であれば早期に対応できたものが、長期間気付かず放置することで修繕範囲が広がることも考えられます。
空き家で確認したいところ
□ 雨漏り
□ 外壁・屋根
□ 窓や雨戸
□ 室内の湿気・カビ
□ 給排水設備
□ 床や天井
□ 庭・雑草・庭木
□ ブロック塀やフェンス
② 雑草や庭木が近隣トラブルになることも
建物だけではなく、敷地の管理も必要です。
庭木の枝が隣地や道路へ伸びたり、雑草が繁茂したりすると、近隣の方へ迷惑をかけてしまう可能性があります。
特に春から夏にかけては植物が伸びやすいため、長期間現地を確認していない空き家は注意しましょう。
③ 害虫・害獣などの問題
管理されていない空き家では、害虫やねずみなどが発生することもあります。
建物内部だけの問題で終わらず、周辺の生活環境に影響する可能性もあるため、定期的に状態を確認することが大切です。
④ 不法侵入など防犯面のリスク
郵便物がたまっている、庭が荒れている、雨戸が長期間閉まったままになっているなど、明らかに人が住んでいない状態が続くと、空き家であることが分かりやすくなります。
窓や扉が破損している場合には、不法侵入など防犯上のリスクにも注意が必要です。
定期的な現地確認に加え、郵便物の整理や戸締まりの確認も行いましょう。
⑤ 倒壊や外壁・屋根材の落下リスク
老朽化した建物を長期間放置すると、屋根材や外壁材などが落下したり、建物の状態によっては倒壊の危険性が高まったりすることがあります。
台風や強風、大雨などをきっかけに状態が悪化することも考えられます。
「誰も住んでいないから問題ない」のではなく、周辺への影響も考えて管理する必要があります。
⑥ 「管理不全空家」「特定空家」とは?
空き家対策の法律では、適切な管理が行われていない空き家について、状態に応じて行政から指導などが行われる仕組みがあります。
2023年12月に施行された改正空家法では、「特定空家」になる前の段階として「管理不全空家」という仕組みが設けられました。
つまり、「まだ倒壊寸前ではないから大丈夫」とは限りません。
そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある状態についても、早い段階から改善を求められる可能性があります。
⑦ 固定資産税が上がることがあるって本当?
一定の場合には本当です。
通常、住宅が建っている土地には「住宅用地特例」があり、土地の固定資産税などの負担が軽減されています。
しかし、管理不全空家または特定空家について、市区町村からの指導に従わず勧告を受けた場合、住宅用地特例の対象から外れることがあります。
ここは間違えやすいポイント
「空き家になったらすぐ固定資産税が上がる」わけではありません。
空き家であることだけで住宅用地特例が直ちになくなるのではなく、管理不全空家・特定空家として勧告を受けるなど、一定の場合に影響します。
⑧ 西宮市でも空き家の適正管理が求められている
西宮市でも、空き家の所有者に対して定期的に状況を確認するなど、適正な管理を行うよう案内しています。
管理不全の空き家については、近隣からの相談などを受けて、市が所有者へ現状を伝える場合があります。
相続した実家が西宮市にあり、自分が遠方に住んでいる場合でも、「見に行けないからそのまま」にせず、現地の状態を確認できる方法を考えておきましょう。
⑨ 放置期間が長いほど売却しにくくなる?
必ず売れなくなるわけではありません。
ただし、管理不足によって建物や敷地の状態が悪化すると、売却するときに修繕・草木の整理・家財処分・解体などの費用が必要になる可能性があります。
また、購入希望者が現地を見たときの印象にも影響することがあります。
「いつか売るかもしれない」という空き家ほど、状態が悪くなる前に査定だけでも受けておくと判断しやすくなります。
⑩ 家財道具が残っていても相談できる
「親の荷物が大量に残っているから、不動産会社にはまだ相談できない」と思っている方もいます。
しかし、家財が残った状態でも売却相談や査定を始められる場合があります。
全部片付けてから相談するのではなく、まず現在の状態を見てもらい、売却方法を決めてから必要な範囲を整理する方法もあります。
⑪ 古い家でも、すぐ解体する必要はない
長期間空き家になっていると、「もう古いから解体した方がいい」と考えることもあるでしょう。
しかし、売却前に必ず解体した方がよいとは限りません。
古家付きのまま売却できる場合もあり、解体費用を売主が負担することで本当に有利になるかは物件ごとに異なります。
先に解体するのではなく、古家付きの査定と更地にした場合の査定を比較してから判断しましょう。
⑫ 相続空き家の3,000万円特別控除には期限がある
相続した空き家については、一定の要件を満たす場合、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できる可能性があります。
2026年現在、この特例は一定の要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。
2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋・敷地を取得した相続人が3人以上の場合は、一人あたり最高2,000万円です。
また、売却期限などの要件があります。
「いつか売ればいい」と何年も放置していると、特例を検討できる期間を過ぎてしまう可能性があるため注意しましょう。
適用できるかどうかは、建物の建築時期、相続後の利用状況、売却時期など複数の条件で判断されます。売却前に税務署や税理士などへ確認しましょう。
⑬ 売るか残すか決まっていなくても査定していい?
もちろん相談できます。
査定を受けたからといって、必ず売却しなければならないわけではありません。
現在の不動産価値を把握することで、売却する・賃貸する・家族で利用する・そのまま所有するといった選択肢を比較しやすくなります。
まだ売るか決めていないときに確認したいこと
① 現在の査定価格
② 年間の固定資産税など
③ 今後必要になりそうな修繕費
④ 空き家管理の負担
⑤ 賃貸にできる可能性
⑥ 売却した場合の手取り
⑦ 家族が将来利用する予定
⑭ 遠方に住んでいて管理できない場合
相続した実家が西宮市にあり、相続人は東京や九州など遠方に住んでいるケースもあります。
その場合、自分で頻繁に現地へ通うのは現実的ではないこともあります。
親族に確認をお願いする方法や、空き家管理サービスなどを利用する方法も検討できます。
売却を検討しているのであれば、地元の不動産会社へ相談し、現地確認から査定・売却までまとめて相談する方法もあります。
よくある質問
Q1. 相続した実家を1年くらい空き家にしても大丈夫ですか?
空き家であること自体が直ちに問題になるわけではありません。
ただし、期間にかかわらず適切な管理は必要です。定期的に建物・庭・郵便物・戸締まりなどを確認しましょう。
Q2. 空き家になったら固定資産税はすぐ上がりますか?
空き家になったという理由だけで、直ちに住宅用地特例がなくなるわけではありません。
ただし、管理不全空家や特定空家として市区町村から勧告を受けるなど、一定の場合には住宅用地特例の対象から外れることがあります。
Q3. 相続した家に誰も住む予定がありません。どうしたらいいですか?
まず現在の不動産価値と維持費を確認してみましょう。
売却・賃貸・そのまま所有などを比較すると、今後の方向性を決めやすくなります。
Q4. 荷物が大量に残っています。それでも査定できますか?
査定できる場合があります。
家財をすべて処分してから相談するのではなく、まず現在の状態で査定を受け、売却方法を決めてから片付ける範囲を考える方法もあります。
Q5. 古い家なので、先に解体した方がいいですか?
必ずしも先に解体する必要はありません。
古家付きで売却する場合と、更地にした場合の査定価格・解体費用・税金などを比較してから判断しましょう。
Q6. 兄弟で意見がまとまっていません。
まず現在の状態や査定価格、年間の維持費など、家族で判断するための情報を集めると話し合いやすくなります。
共有不動産全体を売却する場合は、原則として共有者全員の合意が必要になるため、早めに方向性を話し合いましょう。
まとめ|「まだ決めていない」空き家ほど早めに現状確認を
相続した実家をすぐに売却する必要はありません。
しかし、何もせず放置することと、適切に管理しながら所有することは大きく違います。
相続した空き家で早めに確認したい7つのこと
① 建物の状態
② 庭木・雑草・近隣への影響
③ 戸締まり・防犯
④ 固定資産税など年間維持費
⑤ 現在の査定価格
⑥ 売却・賃貸・所有のどれにするか
⑦ 相続空き家の税制特例の期限
「売るかどうか決めてから相談する」のではなく、決めるために相談することもできます。
西宮市で相続した空き家を所有している場合は、建物の状態が悪くなる前に、一度現状を確認し、今後の選択肢を整理しておきましょう。
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