
結論からいうと、相続した古い家だからといって、売却前に必ず解体した方がよいとは限りません。
まず「古家付きのまま売る場合」と「解体して更地で売る場合」の両方を査定し、売却価格・解体費・税金・買主の需要などを比較してから判断することをおすすめします。
「築年数がかなり古いから、壊さないと売れないのでは?」
「更地にした方が高く売れる?」
「解体費をかけて、本当にその分高く売れる?」
相続した実家の売却では、このようなご相談があります。
建物の状態や土地の条件によって答えは変わるため、査定前に解体してしまわないことが大切です。
迷ったときのおすすめの順番
① 建物と土地の状態を確認する
↓
② 古家付きのまま査定する
↓
③ 更地にした場合の査定も確認する
↓
④ 解体費用の見積りを取る
↓
⑤ 税金・特例への影響を確認する
↓
⑥ 手元に残る金額を比較する
↓
⑦ 古家付き・更地のどちらで売るか決める
① 古い家でも、そのまま売却できる?
築年数が古い家でも、古家付き土地や中古住宅として売却できる場合があります。
「築40年だから売れない」「築50年なら解体しないと売れない」と、築年数だけで決まるものではありません。
土地の立地・広さ・形状・接道条件のほか、建物の状態や利用可能性などを確認して判断します。
購入後に買主が自分で解体して新築したいケースもあれば、古い建物をリフォームして使いたいというケースもあります。
② 先に解体しない方がよい理由
売却前に建物を解体すると、基本的には元に戻せません。
そのため、「古いから」という理由だけで先に解体してしまうのは慎重に考えたいところです。
解体前に確認したいこと
□ 古家付きのままならいくらで売れそう?
□ 更地ならいくらで売れそう?
□ 解体費はいくらかかる?
□ 建物を利用したい買主はいない?
□ 再建築できる土地?
□ 税金や特例に影響しない?
解体するかどうかは「家が古いか」ではなく、「解体した方が売主にとって有利なのか」で判断しましょう。
③ 古家付きのまま売るメリット
古家付きのまま売却する最大のメリットは、売却前に解体費用を負担せずに販売を始められることです。
また、建物を利用したい買主にとっては、現物を確認したうえでリフォームや建替えを検討できます。
古家付きで売るメリット
・先に解体費を負担しなくてよい
・すぐに売却活動を始めやすい
・建物を利用したい買主にも検討してもらえる
・解体するかどうかを買主の判断に任せられる場合がある
④ 古家付きのまま売るときの注意点
古家付きで売る場合には、建物の状態をできるだけ正確に把握しておくことが大切です。
雨漏り、シロアリ、傾き、設備の故障、増築・未登記部分など、把握している事項があれば不動産会社へ伝えましょう。
「古家だから何も説明しなくてよい」というわけではありません。
建物をどのような条件で売却するのかも含め、契約前に整理しておくことが重要です。
⑤ 解体して更地で売るメリット
建物を解体して更地にすると、購入希望者が土地の広さや形状を確認しやすくなります。
新築用地を探している人にとっては、購入後に解体する手間や費用を考えずに検討しやすくなることがあります。
更地で売るメリット
・土地の状態が分かりやすい
・新築を希望する買主が検討しやすい場合がある
・買主が解体工事を手配する必要がない
・老朽化した建物の管理負担をなくせる
⑥ 更地にすれば必ず高く売れるわけではない
ここは特に注意したいポイントです。
建物を解体したからといって、「解体費以上に売却価格が上がる」とは限りません。
例えば、更地にすることで売却価格が200万円上がったとしても、解体や関連工事に250万円かかったのであれば、単純な売却価格だけでは判断できません。
大切なのは「いくらで売れるか」ではなく、解体費や売却費用などを差し引いて最終的にいくら手元に残るのかです。
⑦ 解体費用は建物によって大きく違う
解体費用は、建物の構造・大きさ・立地・前面道路・重機が入れるかどうか・アスベストの有無・庭石やブロック塀などの付帯物によって変わります。
そのため、「木造住宅なら必ず○万円」と一律に判断することはできません。
解体を検討する場合は、現地を確認してもらったうえで見積りを取りましょう。
見積りで確認したい項目
・建物本体の解体
・基礎の撤去
・庭木や庭石
・ブロック塀や物置
・残置物の処分
・アスベストの事前調査・必要な対策
・整地
⑧ 解体する前に「再建築できる土地か」を確認する
古い家の中には、現在と建築当時で法令や周辺状況が変わっているものもあります。
そのため、今ある建物を壊した後に、同じように新しい建物を建てられるとは限りません。
接道条件などによって再建築に制約がある場合、既存建物を解体することが物件の価値や利用方法に大きく影響する可能性があります。
解体契約をする前に、不動産会社や行政窓口などで建築・接道条件を確認しましょう。
⑨ 固定資産税への影響も確認する
住宅が建っている土地には、一定の要件を満たす住宅用地について固定資産税などの負担を軽減する特例があります。
建物を解体すると、翌年度以降の土地の固定資産税等に影響する場合があります。
売却時期によっては、解体してから買主が決まるまで更地を所有する期間が長くなる可能性もあります。
「解体すれば売りやすそう」という理由だけではなく、解体時期と税負担についても確認しておきましょう。
⑩ 相続した空き家の3,000万円特別控除にも注意
相続した実家では、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できる可能性があります。
2026年現在、一定の要件を満たす場合には、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。2024年1月1日以後の譲渡で対象となる家屋・敷地を取得した相続人が3人以上の場合は、一人あたり最高2,000万円です。
この制度では、一定の要件を満たせば、相続した家屋を取り壊して敷地を売却する場合も対象になることがあります。
さらに2024年1月1日以後の譲渡では、一定の要件のもと、売却後からその翌年2月15日までに家屋を取り壊す方法も対象となり得ます。
「特例を使うためには絶対に売却前に解体しなければならない」と決めつけないことが重要です。
適用には建築時期、相続後の利用状況、売却期限、売却代金など複数の条件があります。解体時期を決める前に税理士・税務署などへ確認しましょう。
⑪ 買主負担で解体する条件も検討できる
売主が必ず解体工事を発注しなければならないわけではありません。
古家付きのまま売買し、購入後に買主が解体する条件で契約する方法もあります。
その場合、買主は解体費用を考慮して購入価格を検討することがあります。
「売主が解体する場合」と「古家付きで買主に引き渡す場合」の両方で、最終的な条件を比較してみましょう。
⑫ 解体してから売る方が向いているケース
更地売却を検討しやすいケース
・建物の老朽化が著しく利用が難しい
・新築用地としての需要が見込める
・建物があることで土地の状態を確認しにくい
・解体費を考慮しても更地売却のメリットが見込める
・空き家の管理負担を早くなくしたい
⑬ 古家付きのまま売る方が向いているケース
古家付き売却を検討しやすいケース
・売却前に大きな費用をかけたくない
・建物を利用できる可能性がある
・リフォーム需要が考えられる
・解体費を売主が負担するメリットが小さい
・再建築条件を慎重に確認する必要がある
西宮市では土地ごとの条件を確認して判断する
西宮市内でも、駅からの距離、道路との接し方、土地の形状、高低差、用途地域、周辺の住宅需要などによって売り方は変わります。
「近所の古家が更地になって売れたから、うちも解体した方がいい」とは限りません。
同じ地域でも、一つひとつの土地・建物の条件を確認して判断することが大切です。
よくある質問
Q1. 築50年以上の実家でも、そのまま売れますか?
築年数だけで売却できないと決まるわけではありません。
古家付き土地として販売する方法や、建物の状態によっては中古住宅として検討する方法もあります。まず現在の状態で査定を受けましょう。
Q2. 更地にした方が高く売れますか?
必ず高く売れるとは限りません。
売却価格が上がっても、解体費用などを差し引くと古家付きのまま売った方が手元に残る金額が多いケースも考えられます。
Q3. 解体費用を払う余裕がありません。
先に解体せず、古家付きの状態で売却できないか検討しましょう。
買主が購入後に解体する条件や、不動産会社による買取なども選択肢になる場合があります。
Q4. 家財道具が残っています。解体前に全部片付ける必要がありますか?
解体工事をする場合は残置物の整理が必要になることがありますが、査定前にすべて処分する必要はありません。
まず売却方法を決め、家財処分と解体をどのように進めるか相談しましょう。
Q5. 相続空き家の3,000万円控除を使うなら先に解体が必要ですか?
必ずしも「売却前に解体」だけが方法ではありません。
2024年1月1日以後の一定の譲渡では、売却後からその翌年2月15日までに家屋を取り壊す場合も対象となり得ます。ただし適用要件が複数あるため、売買契約や解体時期を決める前に個別に確認しましょう。
Q6. まず何をすればいいですか?
解体業者へ依頼する前に、不動産会社へ現在の状態で査定を依頼しましょう。
「古家付きの場合」と「更地にした場合」の売却条件を比較してから解体するか決めるのがおすすめです。
まとめ|「査定→比較→解体」の順番で考えよう
相続した古い家は、解体してからでなければ売れないわけではありません。
先に解体してしまうと費用が発生し、元の状態には戻せません。
解体前に確認する7つのポイント
① 古家付きの査定価格
② 更地にした場合の査定価格
③ 解体費用
④ 再建築の可否・建築条件
⑤ 固定資産税等への影響
⑥ 相続空き家など税制特例への影響
⑦ 最終的に手元に残る金額
「古いから壊す」のではなく、「壊した方が有利か」を数字で比較することが大切です。
西宮市で相続した古い実家の売却を検討している場合は、解体を決める前に、まず建物が残った状態で査定してもらいましょう。
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