
「親から土地を相続したけれど、自宅から遠くてなかなか見に行けない」
「売却するために、何度も現地へ行かないといけない?」
「遠方の不動産会社とは、どうやってやり取りすればいい?」
相続した土地や実家が、自分の住んでいる地域から遠く離れていることは珍しくありません。
仕事や家庭の事情があり、「売却したいけれど、何度も現地へ行くのは難しい」という方も多いでしょう。
遠方にある相続不動産でも、不動産会社や司法書士などと連携することで、現地へ行く回数を抑えながら売却を進めることは可能です。
今回は、遠方にある土地・実家を相続した場合の売却方法と、売却前に確認しておきたいポイントを解説します。
遠方の相続不動産だからといって、最初から何度も現地へ行く必要があるとは限りません。まずは電話・メール・オンラインなどで相談し、現地確認を不動産会社へ依頼するところから始められます。
遠方の相続不動産でも売却できます
相続した不動産が遠方にあっても、売却することは可能です。
現在は、査定の相談や書類のやり取りなど、売却手続きの一部を電話・メール・郵送・オンラインなどで進めることもできます。
例えば西宮市に実家を相続し、相続人が東京や九州などに住んでいる場合でも、西宮市周辺の不動産会社へ現地調査を依頼し、写真や査定資料を送ってもらいながら売却を進める方法があります。
大切なのは、「遠いから後回し」にしないことです。
遠方の土地を相続したら最初に確認すること
まず、相続した不動産について次の内容を確認しましょう。
- 所在地
- 土地・建物の名義
- 土地の面積
- 建物の有無
- 共有名義になっていないか
- 固定資産税はいくらか
- 住宅ローンや抵当権が残っていないか
- 境界が分かる資料があるか
- 賃貸中・使用中ではないか
- 現地を管理している人がいるか
固定資産税の納税通知書、登記関係書類、権利証・登記識別情報、昔の売買契約書、測量図などが残っていれば、まとめて保管しておきましょう。
遠方の相続不動産を売却する流れ
↓
② 現地の不動産会社へ相談
↓
③ 不動産会社に現地調査・査定を依頼
↓
④ 相続人・相続登記の状況を確認
↓
⑤ 売却方法と売出価格を決める
↓
⑥ 販売活動
↓
⑦ 売買契約
↓
⑧ 決済・引渡し
↓
⑨ 必要に応じて確定申告
① 現地に行く前に不動産会社へ相談する
遠方の不動産を相続すると、「まず自分で現地を確認しないと」と思うかもしれません。
しかし、売却を考えているのであれば、先に物件所在地周辺の不動産会社へ相談する方法があります。
住所や固定資産税の納税通知書などがあれば、不動産会社側で調査できることもあります。
そのうえで現地を確認してもらい、
- 土地・建物の状態
- 周辺環境
- 道路との接道状況
- 草木の状態
- 建物の外観
- 売却するうえで確認が必要な点
などを写真付きで報告してもらえば、現地へ行く前に状況を把握しやすくなります。
② 遠方だからこそ「現地に詳しい不動産会社」を選ぶ
遠方の相続不動産では、売主本人が頻繁に現地確認できません。
そのため、不動産会社選びは特に重要です。
査定額だけでなく、次のような点も確認しましょう。
- その地域で売買を扱っているか
- 相続不動産の売却相談に対応しているか
- 現地の写真や状況を報告してくれるか
- 販売状況を定期的に報告してくれるか
- 司法書士・測量士などと連携できるか
- 残置物・草木・解体などの相談ができるか
- 電話・メール・オンラインで打ち合わせできるか
遠方からの売却では、査定価格だけでなく「現地で代わりに動いてくれるか」「状況をきちんと報告してくれるか」も不動産会社選びの大切なポイントです。
③ 相続登記を確認する
亡くなった方の名義のままになっている不動産を売却する場合は、相続関係を整理し、相続登記を進める必要があります。
2024年4月1日から相続登記は義務化されており、原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
相続人が複数いる場合には、誰が不動産を相続するのか、売却代金をどのように分けるのかについても確認しておきましょう。
相続登記の手続きは、司法書士へ依頼して進める方法もあります。
相続人申告登記だけでは売却できない点に注意
相続登記の義務化に伴い、「相続人申告登記」という制度も設けられています。
これは、期限内に通常の相続登記を行うことが難しい場合などに、相続登記の申請義務を簡易に履行するための制度です。
ただし、相続人申告登記は不動産の権利関係を確定・公示する通常の相続登記とは異なります。
相続した不動産を実際に売却する場合には、別途、相続登記が必要になります。
④ 現地の管理状況を確認する
土地や空き家が遠方にある場合、売却するまでの管理にも注意が必要です。
特に長期間現地を確認していない場合は、
- 雑草や庭木が伸びていないか
- 越境している枝などがないか
- 不法投棄がないか
- 建物に破損がないか
- 郵便物がたまっていないか
- 雨漏りや漏水などがないか
などを確認しておきましょう。
自分で頻繁に行けない場合は、不動産会社や空き家管理サービスなどへ相談する方法もあります。
⑤ 家財が残っていても、先に相談する
遠方の実家を相続した場合、「家の中を全部片付けてからでないと売却できない」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、必ずしも最初にすべて処分する必要があるとは限りません。
家財が残った状態でも査定を行い、その後、売却方法に合わせて片付け方を決めることができます。
買取の場合には、家財が残った状態で相談できるケースもあります。
実家を片付ける際、昔の売買契約書・測量図・登記関係書類などを一緒に処分してしまうことがあります。特に購入時の売買契約書は、売却後の税金を計算するときに重要な資料になるため、保管しておきましょう。
⑥ 境界や測量が必要か確認する
土地を売却する場合、境界の状況も確認しておきたいポイントです。
古くから所有している土地では、境界標が見つからない、測量図が古い、隣地との境界が分かりにくいといったことがあります。
ただし、すべての不動産売却で必ず確定測量が必要というわけではありません。
物件の状況や買主との契約条件によって異なるため、まず不動産会社に現地を確認してもらい、必要であれば土地家屋調査士等へ相談しましょう。
⑦ 売買契約・決済のために何度も現地へ行く必要はある?
遠方の不動産売却では、「契約や決済のたびに現地へ行かなければならないの?」という質問もよくあります。
取引内容や本人確認の方法、利用する金融機関・司法書士などによって対応は異なりますが、郵送やオンラインでの打ち合わせなどを組み合わせ、現地へ行く回数を減らせる場合があります。
最初の相談時に、「遠方に住んでいるため、できるだけ現地へ行かずに進めたい」と不動産会社へ伝えておきましょう。
遠方の不動産は「鍵」の受け渡しも考えておく
建物がある場合、意外と困るのが鍵の受け渡しです。
査定、室内確認、購入希望者の内覧などのたびに売主が現地へ行くのは大きな負担になります。
信頼できる不動産会社へ鍵を預けることができれば、売主が毎回立ち会わなくても販売活動を進められる場合があります。
鍵を預ける場合は、預かり方法や管理方法について確認しておきましょう。
売却代金だけでなく費用も確認する
遠方の相続不動産では、通常の売却費用以外にも費用が必要になることがあります。
- 仲介手数料
- 相続登記などの登記費用
- 測量費
- 家財処分費
- 草木の剪定・除草費
- 建物の解体費
- 空き家管理費
- 現地へ行く場合の交通費・宿泊費
売却前に「何にいくらくらい必要になりそうか」を確認し、手取り額を考えておくと安心です。
売却後は確定申告が必要になることも
相続した土地や建物を売却し、譲渡所得が生じた場合は、原則として確定申告が必要になります。
相続した不動産の取得費や取得時期は、原則として亡くなった方のものを引き継ぎます。
そのため、親などが購入したときの売買契約書や領収書などが残っていれば大切に保管しておきましょう。
取得費が分からない場合などには、売却金額の5%相当額を概算取得費として計算できる場合があります。
遠方の相続不動産を売却するときのチェックリスト
✓ 不動産の所在地・名義を確認した
✓ 相続人を確認した
✓ 相続登記について確認した
✓ 現地の不動産会社へ相談した
✓ 現地写真・建物の状態を確認した
✓ 境界・測量について確認した
✓ 家財・草木の状態を確認した
✓ 売却に必要な費用を確認した
✓ 売買契約・決済時の移動が必要か確認した
✓ 親が購入したときの売買契約書を探した
よくある質問
Q1. 遠方の土地を相続しました。現地へ行かなくても査定できますか?
可能な場合があります。所在地や物件資料を伝え、不動産会社に現地確認を依頼することで、売主本人が最初から現地へ行かなくても査定を進められるケースがあります。
Q2. 売却するまで一度も現地へ行かなくても大丈夫ですか?
物件や取引方法によって異なります。契約・本人確認・決済などで対応が必要になる場合もあるため、最初に「できるだけ現地へ行かずに売却したい」と不動産会社へ相談してください。
Q3. 相続登記がまだでも査定できますか?
査定や売却相談は先に進められます。ただし、実際に相続不動産を売却するには、相続関係を整理し、必要な相続登記を行う必要があります。
Q4. 家財が残ったままでも査定できますか?
査定できる場合があります。片付け費用や売却方法によっては、先に処分しない方がよいこともあるため、まず現状のまま相談してみましょう。
Q5. 遠方の土地は現地の不動産会社に頼んだ方がいいですか?
地域の取引事情や物件特性を把握している会社は選択肢のひとつです。ただし、地域性だけでなく、相続不動産への対応、報告体制、売却方法の説明、専門家との連携なども確認して選びましょう。
Q6. 遠方の空き家は売れるまで管理が必要ですか?
売却まで所有者として管理する必要があります。草木、建物の破損、郵便物、不法投棄などを定期的に確認し、自分で難しい場合は管理サービス等を検討しましょう。
Q7. 相続した土地を売ったら確定申告が必要ですか?
売却によって譲渡所得が生じた場合は、原則として確定申告が必要です。また、特例を利用するために申告が必要になる場合もあります。税務については税務署または税理士へ確認してください。
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相続登記が終わっていない、家財が残っている、境界が分からない、長期間現地を確認できていないという段階でも、まずは現在の状況から整理していきます。
「遠方なので何から始めればいいか分からない」という場合も、売却するかどうかを決める前からご相談ください。
本記事は2026年時点の制度・一般的な不動産取引をもとにまとめています。相続登記や売却手続きは個別の相続関係・物件状況によって異なります。登記については司法書士等、税務については税務署または税理士へご確認ください。

