
親から相続した実家について、兄弟のうち2人は「売却したい」と考えているのに、1人だけが「売りたくない」と反対している。
相続不動産では、このように相続人同士の意見がまとまらないことがあります。
「多数決で売却できる?」「反対している人を除いて売却できる?」「ずっと話がまとまらなかったらどうなる?」と悩む方もいるでしょう。
結論からいうと、共有している不動産全体を売却する場合、原則として共有者全員の同意が必要です。
そのため、3人のうち2人が売却に賛成しているからといって、反対している1人を無視して家全体を売却することは原則としてできません。
ただし、売却に反対する人がいるからといって、何もできなくなるわけではありません。
この記事では、西宮市で相続した実家・土地について、相続人の一人が売却に反対している場合の考え方と、話し合いがまとまらない場合の解決方法を分かりやすく解説します。
相続した不動産全体を売却する場合、原則として共有者全員の同意が必要です。
「3人中2人が賛成だから売れる」という単純な多数決ではありません。
相続人の一人が反対していても売却できる?
まず確認したいのが、不動産が現在どのような状態になっているかです。
相続人が複数いる場合でも、まだ遺産分割が終わっていないケースと、すでに相続登記をして共有名義になっているケースでは、検討する手続きが異なります。
すでに兄弟などの共有名義になっている不動産全体を通常の売買で第三者へ売却する場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。
そのため、反対している共有者の持分まで他の共有者が勝手に売却することはできません。
多数決では売却できない
たとえば、父親の実家を兄・姉・弟の3人で3分の1ずつ共有しているとします。
姉 「売りたい」
弟 「売りたくない」
この場合、2対1だからといって、兄と姉だけで実家全体を売却できるわけではありません。
共有不動産全体の売却は、日常的な管理とは異なる重要な処分です。
「持分の過半数が賛成しているから売却できる」と考えないようにしましょう。
まず「なぜ売却に反対しているのか」を確認する
一人が売却に反対している場合、すぐに法的な手続きを考えるのではなく、まず反対している理由を確認することが大切です。
- 親との思い出があり、家を残したい
- 将来自分や子どもが住みたい
- 売却価格が安いと思っている
- 今売る時期ではないと思っている
- 他の相続人への不信感がある
- 売却代金の分け方に納得していない
- 自分だけ損をすると思っている
- 相続そのものについて意見がまとまっていない
同じ「売りたくない」という言葉でも、理由によって解決方法は変わります。
「どうして売りたくないの?」を整理すると、価格の問題なのか、思い出の問題なのか、住み続けたいのかが見えてきます。
理由が分かれば、売却以外の解決方法が見つかることもあります。
解決方法① まず不動産の査定価格を確認する
家族で話し合う前に、不動産が現在いくらくらいで売却できるのか確認しておく方法があります。
「安く売られるのではないか」と心配して反対している場合には、査定価格や販売方法を具体的に示すことで話し合いやすくなることがあります。
まだ全員が売却に同意していない段階でも、不動産会社へ相談したり査定したりすることはできます。
解決方法② 売りたくない相続人が不動産を取得する
一人だけ「家を残したい」という希望が強い場合、その人が不動産を取得する方法も考えられます。
たとえば3人の相続人がいて、長男が実家を取得し、他の相続人にはその相続分などに応じた金銭を支払う方法です。
このような分け方は一般に代償分割と呼ばれます。
家を残したい人と、現金を受け取りたい人の双方の希望を調整できる可能性があります。
兄 → 実家を残したい
姉・弟 → 不動産はいらないので現金がほしい
兄が実家を取得し、姉・弟へ代償金を支払う方法を検討することができます。
ただし、代償金をいくらにするのか、その資金を準備できるのかなどを確認する必要があります。
解決方法③ 他の相続人の持分を買い取る
すでに共有名義になっている場合には、家を残したい共有者が、売却したい共有者の持分を買い取る方法もあります。
これによって、第三者へ不動産全体を売却せずに共有関係を整理できる可能性があります。
この場合も、まず不動産全体の査定価格を確認し、持分の価格について話し合うことが重要です。
解決方法④ 売却時期を決めて一定期間保有する
「今すぐ売ること」に反対しているだけなら、一定期間保有してから売却する方法もあります。
たとえば、「一周忌が終わってから売る」「荷物を整理してから売る」など、期限を決めることで合意できる場合があります。
ただし、保有している間も固定資産税、管理費、修繕費、庭木の手入れなどの費用が発生する可能性があります。
誰が費用を負担するのかも一緒に決めておきましょう。
解決方法⑤ 自分の共有持分だけを売却する
すでに自分の共有持分として所有している場合には、原則として自分の持分だけを売却することもできます。
ただし、持分だけの売却は一般の買主が購入しにくく、不動産全体を売却する場合より価格面で不利になることがあります。
また、第三者へ持分を売却すると、その第三者が新しい共有者になります。
家族にとって大きな影響があるため、持分だけの売却を決める前に、全体売却や共有者間での買取りと比較することが大切です。
「相続人だから自分の法定相続分だけすぐ売れる」とは限りません。
まだ遺産分割が終わっていないのか、すでに共有持分として相続登記されているのかなど、現在の権利関係を確認する必要があります。
話し合いがまとまらない場合は遺産分割調停も
遺産分割について相続人同士で話し合っても合意できない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法があります。
遺産分割調停では、家庭裁判所の調停委員会を介して、相続人それぞれの意見を聞きながら解決を目指します。
不動産についても、一人が取得して他の相続人へ代償金を支払う方法や、売却して代金を分ける方法などが検討されることがあります。
調停でも合意できない場合には、原則として審判手続へ移り、裁判所が事情を踏まえて判断することになります。
すでに共有名義の場合は「共有物分割」という方法もある
遺産分割が終わり、すでにそれぞれの持分で共有している不動産について共有状態を解消したい場合には、共有物分割を検討することがあります。
共有者は原則として共有物の分割を請求することができ、話し合いがまとまらない場合には裁判所へ共有物分割を請求できる制度があります。
裁判による共有物分割では、現物を分ける方法、共有者の一人が他の共有者の持分を取得して金銭を支払う方法などがあり、それらが難しい場合には競売が命じられることもあります。
ただし、遺産分割前の相続財産と、遺産分割後の通常の共有不動産では手続きが異なります。具体的なケースでは弁護士などの専門家へ確認しましょう。
売却に反対する人を無理に説得するより「選択肢」を見せる
家族間の話し合いでは、「売るべき」「売りたくない」と意見をぶつけ合うだけでは、なかなか解決しないことがあります。
そのようなときは、次のような具体的な数字や選択肢を整理すると話し合いやすくなります。
- 現在売却した場合の査定価格
- このまま保有した場合の年間維持費
- 固定資産税はいくらか
- 修繕が必要になる可能性
- 誰かが取得する場合の代償金
- 賃貸として利用できる可能性
- 一定期間後に売却する方法
「売る・売らない」だけで話し合うのではなく、
① 売る
② 一人が取得する
③ 一定期間残す
④ 貸す
など、それぞれの費用やメリット・注意点を比較してみましょう。
不動産会社にできること
不動産会社が、反対している相続人に売却を強制することはできません。
しかし、家族で判断するための材料を整理することはできます。
- 現在の不動産価格を査定する
- 売却した場合の流れを説明する
- 売却にかかる費用を整理する
- 保有した場合との比較材料を作る
- 賃貸という選択肢を検討する
- 必要に応じて司法書士・税理士・弁護士などにつなぐ
「まだ家族全員の同意が取れていない」という段階でも、査定や相談をすることはできます。
相続人の一人が反対しているときの確認事項
- 相続人は誰か
- 遺言書はあるか
- 遺産分割は終わっているか
- 現在の登記名義は誰か
- それぞれの持分はどうなっているか
- なぜ売却に反対しているのか
- 現在の査定価格はいくらか
- 保有した場合の年間維持費はいくらか
- 誰かが取得する方法は可能か
- 売却時期を変更すれば合意できるか
よくある質問
Q1. 相続人3人のうち2人が賛成なら家を売れますか?
共有不動産全体を通常の売買で売却する場合、原則として共有者全員の同意が必要です。単純な多数決で売却できるわけではありません。
Q2. 反対している相続人を除いて売買契約できますか?
その人の持分まで他の共有者が勝手に処分することはできません。不動産全体を売却する場合には権利関係を確認し、必要な同意を得る必要があります。
Q3. 売却に反対している兄が実家に住みたいと言っています。どうすればいいですか?
兄が不動産を取得し、他の相続人へ代償金を支払う方法などを検討できます。まず不動産の評価額を確認すると話し合いやすくなります。
Q4. 一人だけ話し合いに応じてくれません。
遺産分割がまとまらない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法があります。具体的な状況については弁護士などへの相談も検討しましょう。
Q5. 自分の持分だけ売却できますか?
すでに自分の共有持分として所有している場合、その持分だけなら原則として売却できます。ただし、遺産分割前か共有登記後かなど、現在の権利関係を確認することが重要です。
Q6. 家族で話がまとまるまで固定資産税はどうなりますか?
話し合い中だからといって固定資産税がなくなるわけではありません。誰が支払うのか、これまで誰が立て替えているのかも家族で整理しておきましょう。
Q7. 全員が売却に同意していなくても査定できますか?
はい。売却を決める前でも査定はできます。現在の不動産価値を確認することは、家族で今後について話し合う材料にもなります。
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まとめ|一人が反対しているときこそ、まず選択肢を整理しよう
相続した不動産を共有している場合、一人でも売却に反対していれば、他の共有者だけで不動産全体を通常の売買で売却することは原則としてできません。
しかし、「売れない」で終わる必要はありません。
まず反対している理由を確認し、不動産全体の査定価格や維持費などを整理したうえで、全体売却、誰か一人による取得、一定期間の保有、賃貸などの方法を比較してみましょう。
話し合いがまとまらない場合には、遺産分割調停などの法的な手続きを検討する方法もあります。
西宮市で相続した不動産について、「兄弟の一人だけが売却に反対している」「家族で意見がまとまらない」「まず家の価値だけ知りたい」という段階からご相談いただけます。
売却を急がせるのではなく、まず現在の不動産価値や保有した場合の費用など、家族で話し合うための材料を整理していきます。
まだ全員の売却意思が固まっていなくても大丈夫です。お気軽にご相談ください。
※本記事は2026年9月時点の一般的な情報をもとに作成しています。遺産分割、共有持分、共有物分割などの取り扱いは、相続や登記の状況によって異なります。相続人間に争いがある場合や具体的な法律判断については、弁護士・司法書士などの専門家へご確認ください。

