
「兄弟3人で相続した実家を売ったら、売却代金は3等分?」
「長男が代表して売却して、あとから兄弟に振り込んでも大丈夫?」
「仲介手数料や解体費、税金は引いてから分けるの?」
相続した不動産を売却するとき、不動産の価格と同じくらい大切なのが、「売却代金を相続人でどう分けるのか」という問題です。
「相続人が3人だから3等分」とは限りません。
法定相続分、遺言書、遺産分割協議の内容、不動産の取得割合などによって、売却代金の分け方は変わります。
また、誰か1人が代表して不動産を売却してから他の相続人へお金を渡す場合は、遺産分割協議書の内容や税務上の取扱いにも注意が必要です。
この記事では、西宮市で相続不動産を売却する場合を想定して、売却代金の分け方と、相続人同士で事前に確認しておきたいポイントを分かりやすく解説します。
売却する前に決めておきたいこと
□ 誰が相続人なのか
□ 遺言書はあるか
□ 不動産を誰が取得するのか
□ 売却代金をどの割合で分けるのか
□ 売却にかかる費用を誰が負担するのか
□ 誰が代表して売却手続きをするのか
□ 譲渡所得の税金を誰が申告するのか
□ 遺産分割協議書にどう記載するのか
相続不動産を売ってお金で分ける「換価分割」とは?
実家などの不動産は、預貯金のように簡単に分けることができません。
そこで、不動産を売却して現金に換え、その売却代金を相続人で分ける方法があります。
これを「換価分割(かんかぶんかつ)」といいます。
たとえば、兄・姉・弟の3人が相続人で、誰も実家に住む予定がない場合、実家を売却して、その代金を遺産分割協議で決めた割合に応じて分ける方法です。
POINT
不動産そのものを誰か1人が取得するのではなく、不動産を売却して現金に換えてから相続人で分けるのが換価分割です。
売却代金は法定相続分で分けないといけない?
必ず法定相続分どおりに分けなければならないわけではありません。
法定相続分は、相続人同士で遺産分割の合意ができなかった場合の基準となる割合です。
相続人全員で遺産分割協議を行い合意できれば、事情に応じた分け方を決めることもできます。
代表的な法定相続分
| 相続人 | 法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者+子 | 配偶者1/2・子全員で1/2 |
| 配偶者+父母などの直系尊属 | 配偶者2/3・直系尊属1/3 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 配偶者3/4・兄弟姉妹1/4 |
同順位の子や兄弟姉妹が複数いる場合は、原則としてその持分を人数で分けます。
ただし、実際の遺産分割では、預貯金など他の相続財産も含めて全体で調整することがあります。
例えば兄弟3人で実家を売ったらどう分ける?
分かりやすく、相続人が兄弟3人だけで、3人が均等に分けることで合意しているケースを考えてみます。
実家が3,000万円で売れたとしても、単純に1人1,000万円ずつ振り込めば終わり、とは限りません。
売却には、仲介手数料や登記関係費用、測量費、解体費などが発生する場合があります。
例:3,000万円で売却した場合
売却価格 3,000万円
- 売却に必要となった費用 200万円
= 手元に残る金額 2,800万円
この2,800万円を3人で均等に分けるという合意なら、単純計算では1人あたり約933万円になります。
実際には費用の内容や税金、遺産分割協議の内容によって異なるため、売却前に「何を差し引いてから分けるのか」まで決めておくと安心です。
売却費用は誰が負担する?
相続不動産の売却では、次のような費用が発生することがあります。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登記関係費用
- 測量費
- 境界確認費用
- 家財処分費
- 解体費
- 草刈り・庭木剪定費
誰か1人が先に立て替える場合もあります。
その場合は、領収書や振込記録などを残し、売却代金を分けるときにどのように精算するのかを相続人全員で共有しておきましょう。
譲渡所得の税金は「売却代金からまとめて払って残りを分ける」とは限らない
ここは特に注意したいポイントです。
相続不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、所得税・住民税の申告や納税が必要になることがあります。
換価分割では、不動産の所有割合や換価代金の取得割合などに応じて、各相続人が譲渡所得を申告することがあります。
そのため、「売却代金から税金を1回だけ引いて、残ったお金を分ければいい」と考えず、誰がどの割合で譲渡したことになるのかを確認する必要があります。
売却する前に税金の確認を
売却代金の分け方は、譲渡所得の申告にも関係する場合があります。
特に相続人が複数いる場合は、売却後ではなく、遺産分割協議や売却を行う前に税理士などへ確認しておくと安心です。
親が買ったときの売買契約書が重要
相続した不動産を売却した場合の譲渡所得を計算するときは、原則として、亡くなった親御さんなどがその不動産を取得したときの購入代金や購入手数料などを引き継いで取得費を計算します。
そのため、実家に残っている古い売買契約書や領収書などは、片付けの際に捨てないようにしましょう。
取得費が分からない場合などには、売却金額の5%相当額を取得費とする方法もありますが、実際の取得費より大幅に低くなる可能性があります。
売却前に「昔の売買契約書がないか」を探すことは非常に大切です。
1人の名義にしてから売却代金を分けても大丈夫?
換価分割を進める際、売却手続きをしやすくするため、相続人のうち1人の名義に相続登記して売却する方法が検討されることがあります。
この場合、単に「長男名義にして、売れたら兄弟へ適当に振り込む」という進め方は避けた方がよいでしょう。
国税庁では、共同相続人のうち1人の名義にしたことが換価のための便宜によるものであり、遺産分割の内容に従って実際に代金を分配するケースについて、一定の前提のもとで贈与税の問題は生じないとしています。
そのため、換価分割をすること、売却代金を誰にどの割合で分配するのかを遺産分割協議の段階で明確にしておくことが重要です。
「とりあえず1人が相続して、あとでお金を渡す」は注意
相続人の1人が不動産を正式に取得した後、その人自身の判断で売却し、他の兄弟姉妹へお金を渡すケースと、最初から換価分割として代表者名義で売却するケースは同じとは限りません。
遺産分割が完了した後に財産を改めて再配分すると、その内容によっては税務上の取扱いが変わる可能性があります。
誰か1人の名義で売却する予定なら、登記をする前に司法書士や税理士へ相談しておきましょう。
売却前に相続人で決めておきたい7つのこと
家族で確認してみましょう
□ ① 不動産を売却することに全員が合意している
□ ② いくらくらいから売り出すか
□ ③ どこまでの値下げを認めるか
□ ④ 売却代金をどの割合で分けるか
□ ⑤ 売却費用をどのように負担するか
□ ⑥ 誰が代表して不動産会社と連絡するか
□ ⑦ 譲渡所得の申告・税金について確認したか
「売れてから決める」のではなく、できるだけ売却前に決めておくことが大切です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 兄弟3人なら必ず3等分ですか?
必ず3等分しなければならないわけではありません。他の相続財産や遺言の内容なども確認し、相続人全員による遺産分割協議で分け方を決めることがあります。
Q2. 不動産を売ってから分け方を決めてもいいですか?
売却後に換価代金を分けるケースもありますが、譲渡所得の申告などにも関係するため、できるだけ売却前に取得割合や分配方法を確認しておくことをおすすめします。
Q3. 長男の口座に売却代金を全部振り込んでも大丈夫ですか?
代表者が受け取り、その後ほかの相続人へ分配する方法がとられる場合もあります。ただし、遺産分割協議書の内容や登記、税務上の取扱いを確認したうえで進めましょう。
Q4. 仲介手数料や解体費は誰が払いますか?
相続人全員で負担する方法や、代表者が一度立て替えて売却代金から精算する方法などがあります。後でトラブルにならないよう、事前に負担方法を決めておきましょう。
Q5. 売却したときの税金も相続人で分けますか?
譲渡所得は、不動産の所有割合や換価代金の取得割合などに応じて各相続人に帰属する場合があります。売却代金の分配とは別に確認が必要です。
Q6. 親が買った金額が分かりません。どうすればいいですか?
まず購入時の売買契約書や領収書などを探しましょう。取得費が分からない場合などには売却金額の5%相当額を取得費とする方法もありますが、税額に大きく影響する可能性があるため税理士などへ確認しましょう。
Q7. 換価分割は遺産分割協議書に書いた方がいいですか?
代表者名義で登記して売却し、その代金をほかの相続人へ分配する場合などは、換価分割であることや分配方法を遺産分割協議書で明確にしておくことが重要です。具体的な文言については司法書士・弁護士・税理士などへ確認しましょう。
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まとめ|売却する前に「誰が・いくら受け取るか」を決めておく
相続不動産を売却して現金で分ける方法を換価分割といいます。
売却を進める前に、
- 誰が相続人なのか
- 遺言書はあるのか
- どの割合で売却代金を分けるのか
- 売却費用をどう負担するのか
- 誰が代表して売却するのか
- 譲渡所得を誰が申告するのか
を整理しておきましょう。
「まず売って、お金が入ってから兄弟で考える」のではなく、売却前に分け方まで話し合っておく。
それが、相続不動産の売却で家族間のトラブルを防ぐための大切なポイントです。
※遺産分割、相続登記、贈与税、相続税、譲渡所得などの取扱いは、遺言書や遺産分割協議の内容、不動産の登記状況などによって異なります。具体的な手続きについては、司法書士・税理士・弁護士・税務署・法務局などへご確認ください。

